現役女子高生、メイドになります!
――街外れの丘の上に展望台がある。高校生になった俺は、ある理由からそこに通うようになっていた。



壁一面ガラス張りのラウンジからは、この街を丸ごと見下ろすことができる。


最近は、観光地としてもわりと知られるようになったみたいで、幼い頃に訪れた記憶よりも、観光客が多いように感じた。



その人々の解放感とも似たような、非日常的ではしゃいだ空気の中、ぽつんとベンチに座る一人の女の子を見かけた。



地元の中学のセーラー服を着たその後ろ姿は、どこか寂しそうに見える。まるで彼女の周りだけ、空気がひんやりしているように感じた。



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