現役女子高生、メイドになります!
私のすぐ近くまで追いついた海様は、その大きな手で私の手首をぐっと掴む。


驚いた拍子で、思わず涙が出てしまった。振り向いて彼の顔を見ることは、もうできない。




「痛いです、離してください……」



「……お前、誰か相談できるやついるの?
どうしてそうやって、一人で抱えたりするんだよ」



「……誰かに相談しないといけないんですか?
ごめんなさい、そっとしておいてくれませんか」





私の手首を掴む、彼の手の力がその瞬間にふっと抜けた。


そのタイミングを逃さずに、掴まれた手首を振りほどくと、そのまま部屋に入って扉を閉める。




少し言い過ぎたかも。八つ当たりみたいになったことを軽く後悔したが、今はそれどころじゃなかった。



< 371 / 506 >

この作品をシェア

pagetop