現役女子高生、メイドになります!
「ま、そんな簡単に忘れられるもんじゃないよな。忘れることができるなら、とっくに忘れてるっつーの」




風様はへへっと軽い笑顔を見せてから、意味もなくシャープペンシルの先で消しゴムをつつきだした。


まるで、私のことじゃなくて自分のことを言っているようにも聞こえた。




「どうでしょうかね。早く忘れられたらいいけど」




蛇口を緩めて食器についた泡を流し始めると、風様は私の背中に向かってつぶやいた。




「なら、俺とも別れるか」



「え?」




私は水道の蛇口を止めて、テーブルに向かっている風様の方を振り返る。風様も宿題の手を止めて私の方を見上げた。



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