現役女子高生、メイドになります!
「……どした?早く家入らなきゃ、風邪引くよ」



「あのね、あたしの好きな人ね……」




……またそれか。言わなくていいし、聞きたくなんかないんだ。


俺の気持ちなんて、わかってくれなくてもいいけど、無駄に傷つきたくもないんだよ。




「……その話、さっき終わったじゃん」



「……」




少し言葉がきつかったかも。だけど俺だってもう、いっぱいいっぱいだ。


陽菜が怯んだすきに「じゃあな」と軽く手を挙げて、来た道を引き返した。




「あたしの好きな人、……だよ」




背後で陽菜がなにかつぶやいていたけど、俺はダッフルコートのフードをかぶり、それをシャットアウトした。




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