現役女子高生、メイドになります!
「寒いから、早く乗りなよ」



「え、どっかいくの?これから?」




俺はわけがわからずに、促されるまま助手席に乗り込んだ。


行き先を聞いても、彼女は「いいからいいから」と答えるだけで、ただ車を走らせる。



着いた先は展望台だった。小学生の頃、よく諒と二人で来ていたことを思い出した。




『ここはこの街で一番高いところにあるでしょ?だから、天国に一番近いところなんだっておばあちゃんが言ってたんだ』




そうだ。幼い頃に母親を亡くした諒は、よくこう言っていたっけ。




彼女は月に一度、母親の月命日に、この展望台に通っていた。



最初の頃は俺も彼女に付いてここに来ていたけど、ある時突然、気がついてしまったんだ。



いつも元気で明るい諒が、ここにくるときだけは、なんともいえないような切ない表情をしていることに。




彼女のその表情を見たくないからなのか、なんとなく邪魔をしてはいけない雰囲気を感じたのか、俺はある時から展望台に通うことを躊躇うようになり、足が遠のいていた。




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