現役女子高生、メイドになります!
……きっと諒は、俺の気持ちに気づいていたんだ。気づいててわざとこう言った。


そして俺がなんて答えるのかも、諒にはわかっていたんだろうな。




「……なんで俺が止めるんだよ。東京、行けよ」




あえて大事な決断を俺にさせることで、彼女は強引に俺の迷いを打ち消そうとした。


それと同時に、彼女は俺の気持ちを拒んだんだ。俺が、告白する前から。




「ははっ……ずっる」




聞こえよがしに言ったこの一言も、彼女はまた聞こえないふりをするのだ。そういうところも本当にずるいと思った。




――そして諒は、高校卒業と同時に俺のそばからいなくなった。スマホも替えたのか、彼女とは一切連絡が取れなくなってしまった。



その気になれば、諒の連絡先くらいは信子さんに聞くことができる。


だけどそれをする気にはならなかった。無駄だと思った。何か思うことがあって、諒が俺との繋がりを断ったんだから――




< 468 / 506 >

この作品をシェア

pagetop