現役女子高生、メイドになります!
「……まだ、しない」



「……はいっ?」




私が風様の腕の中でぽかんとしていると、風様は私の頭を優しくなでてくれた。




「大事にしたいんだ。やっと……やっと気持ち、届いたから」



「風様……」




私の耳元でささやく風様の声が震えていた。その声は私の心臓にじんわりと響いた。


風様が私の身体を離すと、にかっと笑ってこう言った。




「まず、敬語はやめるべ。もう使用人じゃないからな」



「……そうですね。えっと、努力しま……努力、するね」




風様が私の頭をポンポンと優しく叩いた。ふと、まだカーテンのかかっていない寝室の窓に目をやると、外が暗くなりかけていた。




桜宮邸から漏れる明かりが、星のように優しく輝くのが見えた。






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