現役女子高生、メイドになります!
お盆に実家に帰ったとき、信子さんが諒の話をしてくれた。


音大を受験するために、こつこつと貯めていたお金はある程度のめどがついたらしく、本格的に受験の準備に入ったそうだ。




そうだよ、彼女はようやく夢へのスタートラインに立ったんだ。きっと、俺のことなんてもう……




「……海?」




背中に受けた声で、懐かしさといとしさがこみ上げてきた。じんわりと胸の中で広がっていって、途端に苦しくなってきた。




その声を忘れるわけなんかなかった。ここまでずっと想ってきたんだ……




< 499 / 506 >

この作品をシェア

pagetop