現役女子高生、メイドになります!
「……壊れてしまいそうだった。海の声を聞いたりなんかしたら。


夢とか努力とかも何もかも捨てて、私は海のところに戻ってしまいそうで」




たまらなくなって、俺は諒の手をぎゅっと握った。諒は驚いたのか、俺の顔を一瞬見上げたあとで、何も言わずにその手を握り返してきた。





「そこまで我慢していたくせにね。今年になっておばあちゃんから、海がこっちの大学に進んだって聞いて、ものすごく会いたくなっちゃったんだ」




「諒……」




「私がスカイツリーに通うようになったのは、この春からなんだよ。


賭けみたいなものかな。もしまだ海が私を好きなら、きっとここに来ると思っていた。



……私がここに来て考えていたのは、もうお母さんのことじゃないんだよね」





< 502 / 506 >

この作品をシェア

pagetop