ゆめ×むあ[完]
第十六章
くらい。
「ごめんなさい!お姉さん!
ゆうたと一緒にいたくて…。でも、だからっていって、理由も思いつかないのに…。
お願いします!秘密にして!」
「ん…。いいのよ…。」
確実に、彼女は今、動揺している。
声の高さが上がった。
「‘かれかの’なら、キスぐらい余裕よね?してみて。」
何、
まるで、私達の関係を、
知っているような、勝ち誇った声色。
だからと言って、動揺する訳にはいかない。
「お姉さん、‘かれかの’だからって、キスする訳じゃないんですよ?」
「‘かれかの’だからこそ、キスというものを、大事にしたいんです。」
この勝負、
勝った。