ゆめ×むあ[完]
「夢亜、目ざとい!」
ママがゆうたに向けていたその関心の目を私に向けた。
そして、にこにこ笑いながら話しかけてくる。
「夢亜、3歳までの記憶が無いでしょう。」
なんで、その事、ママが知ってるの。
言ったっけ…?
「無いけど…。」
「それはね、私達が記憶を消したの。」
ママは随分と簡単に、淡々と語った。
全く理解出来ない私をよそに。
「なんで…。なんで、そんな事するの!!」
私だって、感情的になる。
「でも、仕方なかったのよ。
あなた達は、仲が良すぎて、ずっと、
結婚する、ばっかり!
でも、このままじゃ、いけないと思ったの。」
「もしかして…、僕の記憶の夢ちゃんって…。」
ゆうたは、目を見開きながら、じっとママを見つめた。
「そうね…。夢亜よ。」
やっぱり、そうだったんだ。
全く確証の無かった疑いが、
はっきりと変わったように思えた。
「でも、小林 ゆめっていうのは…。」
確かにゆうたの言うとおり、
ゆうたの記憶では、
“小林 ゆめ”
が、確かに実在していた。
「そんなの、よく覚えているわね。
芸名よ。」
ああ、そうだ。
私の芸名は、、
“小林ゆめ゙だったんだ。