常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

その人は、亜湖が丸の内にいたときに見たことがある、秘書室の人だ。
背がすらーっと高くて華やかな美人なのに、楚々とした奥ゆかしい雰囲気を持ち合わせていた。

……名前は、確か、篠原 珠紀(たまき)っていったっけ。

去年だったか、丸の内の秘書室から大阪支社の専務秘書に抜擢されて転勤したのだ。

専務秘書……大地の父親の秘書である。

ということは……父親も認める人、だったということだ。

亜湖のただでさえ色白の顔が、この上なく青白くなっていた。

< 134 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop