常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

「会社もバカじゃない。実力もないのに役職には就かせない。その歳で主任になったのは、おまえ自身の力だ」

そして、ふわっと亜湖を抱きすくめた。

……なんだ、そんな理由で「常務の娘」を隠していたのか。

「おれはそのおまえ自身の力がほしいんだ」

亜湖は全国の「大奥」を牛耳って「影の総元締め」って呼ばれるくらいの力があるというのに。

「……副社長になるために?」

大地に抱きすくめられたまま、亜湖は訊いた。
こころなしか、声が震えている。

「それも、慶人から聞いたのか?」

大地の声に怒りが(こも)る。

……慶人の野郎、あいつ、自分は蓉子を手に入れといて、こっちはぶっ潰す気か!?

……絶対、許せねえ。

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