常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
……そういえば、あのとき、おれは「市松人形」にキスしたんだった。
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田中のおじさんにバレて、引きずられて行く大地と入れ替えに、親戚の子たちが亜湖に駆け寄った。蓉子と本家の彩乃が声をかける。
『ねぇねぇ、あなたどこの子?』
『歳はいくつ?小学生?』
慶人が早速、大人たちがコロッと騙される「王子さまスマイル」で亜湖を見つめている。
……気をつけろっ!あいつの腹ん中は真っ黒けっけだぞぉー!!
蓉子の双子の兄である太陽と海洋は二卵性なので、全然似ていない。だけど、二人とも要注意なのは同じだ。
……太陽は見た目と要領がいいから、小学校で何股も掛けてるチャラ男だぞぉー!
……海洋はクールで剣道一筋、女なんかに興味ねえって顔してるけど、彩乃にチョッカイ出してるむっつりスケベだぞぉー!
『おい、おまえらっ!おれの「市松人形」に手ぇ出すなよっ!!』
大地は声を張り上げて威嚇した。
その直後、田中のおじさんが大地の頭を思いっきり、 叩いた。
『だれが、おまえのだっ!? 大地っ!
亜湖はだれにも渡さん!!』
『田中くーん、死なない程度なら、なにやっても構わないからねー』
遠くから、すっかりご陽気になってる母親の紗香の声が聞こえた。ずいぶん呑んでるようだ。
……それでも、実の親かよ?