常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
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亜湖のくちびるから、大地が離れた。
眠っている彼女のまぶたが震える。
やがて、ゆっくりと、亜湖の両目が開いた。

「……上條さん」

彼女はすぐ目の前に見えた人の名を呼んだ。

会社での彼の前髪は、ヘアワックスで後ろに流してセットされていた。
しかし、風呂上がりの今は無造作に前に下されていて、まるで少年のようだった。


「あなたは……『だいち』なのね?」

「……そうだ」

男の子……今は大人になった大地が、肯いた。


「待たせたな……迎えに来たぞ、『あこ』」

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