常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

亜湖は夢うつつの中で、その声を聞いた。
だから、一瞬、どこにいるのかわからなくて、ぼんやりと目を泳がせた。

……リビングじゃない。

大地の寝室のベッドの上にいた。

しかも、バスルームから出た時にはきっちりと身に着けていたはずのトップスとフレアスカートがない。つまり、ベビーピンクのキャミソールと、同じ色のブラとショーツしか身に着けていない。

「あ、シワになるから、脱がしといた」

亜湖をリビングからこの寝室まで、お姫さま抱っこで連れてきた大地が、さも当然のように言った。

そして今、大地は亜湖に覆いかぶさっていた。

キャミソールはトップスのシフォンの甘さに合わせた、ベビードール風だった。
大地の目が釘付けになっている。完全に煽ってしまっていた。

「あ、あの、上條さん……」

亜湖はだんだんと状況を把握してきた。

「……今夜は朝まで帰さない、って言っただろ?」

大地が亜湖の耳たぶを甘噛みしながら(ささや)く。


「それから『大地』だ。
……先刻(さっき)、そう呼んだじゃないか」

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