常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「ごめんな……悪かった……ちゃんと言わなくて…おまえを不安な気持ちにさせて」
大地は亜湖の腕の中で言った。
「それに、このタワーマンションにはこの春に越してきたばかりなんだ。だから、珠紀はもちろん、女はだれも入っていない」
大地は亜湖を見上げる。
「……ほんとに亜湖だけなんだ」
亜湖は、いたずらがバレた子どもの顔みたいだ、と思った。
彼女はふっくら微笑んだ。
大地は亜湖を引き寄せ、そのくちびるにそっと自分のくちびるを重ねた。