常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「……じゃあ、今度はおまえな」
亜湖が、はい?と大地を見る。
「おまえ、まさか、おれだけに、あんなこっ恥ずかしいこと、言わせるわけねえよな?」
いつの間にか、大地が仕事モードの「悪魔課長」になって、意地悪な笑みを浮かべている。
「えっと……あのう……」
亜湖が後ずさる。でも、いくらキングサイズのベッドでも逃げきれるわけがない。
すぐさま、大地に腕を取られ、腰を引き寄せられ、すっぽり抱きすくめられてしまった。
「さあ、早く言えっ。おれはもう待てないんだっ。先刻のガキみたいなキスじゃなくて、もっと、がっつり、おまえとキスしたいんだっ」
これではまるで「悪魔課長」っていうより「ガキ大将」だ。すっかり、亜湖と初めて出逢った小学五年生の「だいち」に戻っている。
亜湖は思わず、ふふっ、と笑った。
そして、心を決めた。
大地の腕の中から彼を見上げる。
それから、小さな声で囁いた。
「……好き……大地……いつまでも……わたしの傍にいて……」