常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

「大地の……いじわる」

亜湖は熱っぽい、潤んだ瞳で大地を見上げる。

それだけで大地は煽られて、理性がこっぱみじんこに砕けて、亜湖をめちゃくちゃにしてしまいそうになる。

大地は着ていたTシャツとハーフパンツを脱ぎながら思う。亜湖のたどたどしいキスのときから感じていたが、彼女はたぶん「初めて」だろう。

今も、大地の愛撫に亜湖は感じてはいるが、まだまだくすぐったい方が優っていて「開発」されていないところが多々ある。それはおいおい「開発」していけばいいし、これから一生(そば)にいるんだから、時間なんて腐るほどある。

さらに、なんといっても、愛する女を自分好みのカラダに育てていけるのは、源氏物語の平安の昔から「男子の究極の願望」だ。

「……あの……大地……わたし……」

亜湖が不安げにつぶやく。

「いいから、いいから」

大地は(ついば)むようなキスを何回もして、亜湖の不安を和らげようとする。
さしあたっての懸念は、今日いかに亜湖を痛くさせずにヤレるか、だ。

実は、大地が「初めて」の女の子を相手にするのが初めて、だったのだ。

彼に声をかけてくる女は、経験豊富な自信家が多かった。なので、今までの大地も相手も、最初から遠慮会釈なく思う存分ヤレてたわけだが。

だからといって、「初めて」の亜湖が面倒くさいわけでは決してない。むしろ、ゾクゾクするほど楽しみで、心の底からうれしい。

逆にもし、過去に亜湖の相手をした男がいたなら、そいつの命はなかっただろう、ってくらいだ。

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