常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「常務、ご無沙汰しております」
大地が深々と頭を下げた。
「亜湖さんをいきなり外泊させてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
「かっ、上條……亜湖を……っ!?」
田中常務はぶるぶる震えだした。
顔がみるみるうちに紅潮していき、血圧がストップ高することなく急上昇しているはずだ。
「ですが、亜湖さんとは生半可な気持ちでおつき合いしているわけではありません」
大地は真摯にはっきりと告げた。
「そうよ。大地くん、ちゃんとうちに連絡してくれたし、約束通り亜湖を送ってきてくれたもの」
母親が助け船を出す。
「おっ、おまえは知ってたのかっ!?
がっ、外泊を許すなんて、それでも母親かっ!?
……裏切り者めがっ!!」
田中常務の体内に流れる血は、もはやぐつぐつと沸騰しているに違いない。
「裏切り者って、あなた……大地くんのなにが気に入らないの?あの上條専務と紗香さんの息子さんなのに」
「それとこれとは、話が別だっ!」
「……おとうさんっ!もう、いい加減にしてっ‼︎」
亜湖が突然、両親に割って入った。
「おとうさんがこれ以上つべこべ言うのなら、
……わたし、この家を出て大地のところへ行きますっ‼︎」