常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「営業課は残しますので、もちろん従来の対面での接客もします。ただ、FA課と営業課の業務形態が重なるので、営業課の方に一本化するだけです。FA課は改編してコールセンターにすることで、ネットサービスの顧客専用の『窓口』として、なんでも相談できるようにします」
「……最近、大手銀行でもコスト削減のために、窓口を縮小する方向にシフトしているからな」
諒志がニヤッと笑ってつぶやいた。
そのとき、みんなが紅茶を飲み終えたのを見て、敦子がコーヒーを淹れて運んできた。
亜湖もあわてて手伝う。
「……そのコールセンターの責任者に、亜湖さんを考えています」
突然、自分の名前が出てきて、
「えっ、わたし!?」
亜湖は手にしたコーヒーカップを落としそうになる。