常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「……上條、君はまさか、私を取り込もうとして亜湖に近づいたんじゃないだろうな?」
田中常務が「父親の顔」になって、大地を冷ややかに見る。大地のためにまるで貞淑な妻のようになっている亜湖を見て、イラッとしたのだ。
大地は、うっ、と詰まった。
今となってはラララ星の彼方へ消えてしまった野望だが、副社長になるために「常務の娘」を探し始めたのは事実だったからだ。
「おとうさん!なにを言ってるの?
たとえそうでもいい、ってわたしが思ってるんだから、いいじゃない!!」
……いやいやいや、それは違うから、亜湖。
ここは、キッパリと否定するところだから。
「か、上條っ、そんな卑劣な理由で亜湖に近づきやがって……っ!」
……あれっ?いい感じで話が進んでいたはずなのに、いつの間に?
「……それから?」
諒志がじろり、と大地を見て、話の続きを促した。
「副社長になって改革をやり遂げたら……そのあとは?」