常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
店の外に出たら、蓉子が申し訳なさそうに言った。
「家が厳しいのに、先輩たちがどうしてもって言うから……ごめんね」
実はこちらも蓉子と「田中さん」が囮だったのだ。
でも、蓉子のあの怒りようは、もしかしたらあのイケメンが彼女のタイプだったのかもしれない。
「春に本社から異動してきて、蓉子とは新人研修以来だったのに、早く慣れるようにって良くしてくれたもん。これくらい、いいよ」
「田中さん」はいろんな意味を込めて、ふふふと笑った。