常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
専務も常務も普段は大阪と名古屋だが、東京本社にも部屋はある。
大地は「専務室」とプレートが掲げられたドアを、軽く三回ノックした。
すぐにドアが開いて、専務秘書が顔を見せた。
専務に伴って彼女も上京したようだ。
「……ひさしぶり、専務は今、大丈夫かな?」
大地は同期でもある専務秘書に声をかけた。
「上條課長、おひさしぶり……専務、お待ちかねよ」
彼女は華やかに微笑んだ。