常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「どちらかと言えば、おまえみたいな『雑草』より、『花屋に並んでる』ような慶人の方があのドロくさい『兜町』の雰囲気がキツいんじゃないか。『丸の内』にいた頃はIT部門のシステム開発と管理だったしな」
と、専務が言い出した。
……おっさん、実の息子より、あいつの方が心配かよ?
大地は実の父親を恨みがましく見上げた。
とはいえ、大地も慶人も、兜町の本店の中でも天然記念物並みにドロくささ満開の「営業部」で、毎日、部下に向かって大声で檄を飛ばしていた。
そこだけは、確かに未だに「昭和」だった。