常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「そんな、怖い顔しないでほしいな」
水島課長はちょっと困ったような顔になった。
「僕は、きみと一度、話をしたかっただけなんだから」
長い睫毛の綺麗な顔立ちの彼に、やさしく見つめられる。「田中さん」にも、彼を見て本店内の女子社員がキャーキャー騒ぐわけがわかった。
……水島課長ってこういう人なのね。
「田中さん」の所属する課は営業一課とは深い交わりがあるのだが、なぜか課長とは疎遠だった。
……うーん、この顔、どこかで会ったような気がするんだけど。
でも、「田中さん」には思い出せなかった。