溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

パッチリ二重で色白で、サラサラのロングヘアーの彼女は、どこかの令嬢だと言われたらそう納得できる外見。でもひとたび口を開けばこれだ。

「小学生の時以来だわ、それ見たの。ばあちゃんみたいな担任がよくそれつけてた。ていうか、本当にコンドームにそっくりね、それ。青葉ちゃんもそう思わない?」
「えっ!?」

思わない?って、そんなこと聞かれても……!

「あの、えっと……」
「あはは、やだ青葉ちゃん、本気で悩まないでよー! どんだけうぶなのー」
「す、すみません」

なんだかとてつもなく恥ずかしくなって、ケラケラと笑う千葉さんを見上げたままこっそり指サックを外す。

これがあると資料もめくりやすいし、便利なんだけど、まさかこんな風にいじられるなんて。しかも隣で九条さんまでもが鼻で笑ってる。もう、みんなして。

「可愛いねぇ、青葉ちゃん。なんていうか、すれてなくて。ね? 京吾もそう思うでしょ?」

ひとしきり笑い終えた千葉さんが、優雅にカップを傾けながら視線だけ九条さんに向ける。だが九条さんは聞こえているのかいないのか、無反応。

「ちょっと、京吾聞いてる? 返事くらいしなさいよね!」

そんな彼に、千葉さんが容赦なく突っ込む。
そんなこと聞かなくていいですから。もうやめてください……とも言えず、俯いて黙り込む。

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