溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
そんなことを一人考えていたら、ふと視線を感じ九条さんを見上げる。そこには悩ましげに私を見つめる瞳があって、それがやけに色っぽくてドキッとした。
「な、な、なんでしょう」
「お前のことだから、仕事のことばっか考えてるんだろうなと思って」
「えっ!? あ、はい」
すごい、エスパー?
「九条さんに我慢させているようなので、もっともっと頑張らなきゃって」
そうしどろもどろにいう私を見て、九条さんが鼻を鳴らし笑う。なにがおかしかったのかわからないけど、せいぜい頑張れよという九条さんの言葉に、私は思い切りはいっ!と返事をした。