溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「しかもユリさん、女の子って」
「はぁ? なんだって?」
「女の子って年じゃないでしょ。ちなみにいくつでしたっけ」
「あんた、覚えておきなさいよ。いつかヤッてやるから」
そうドスをきかせユリさんは睨みをきかせる。それでも真壁くんはまるで他人事のようにへらへらしている。
怖いもの知らずというか、空気が読めないというか。当の本人より私の方がハラハラしていた。
「まぁ、でも実際ないでしょうけどね」
真壁くんが私を横目でみながらぽつりと言った。
「え? ないって?」
「九条さん、いっつも女は面倒くさくて嫌いだって言ってるから。だから実際問題、西沢さんとどうのっていうのはなさそう。現にもう何年も彼女いないらしですし」
え……そうなの?知らなかった。女嫌いだなんて。
いかにも女の子が好きそうな風貌しているのに。むしゃむしゃと手当たり次第食べていそうなのに、意外。