溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


「痛いです、離してください、九条さん!」

私の手を取り、強引に連れ出す九条さんに何度か訴え後、ようやく足を止め離してくれた。
もうなにがなんだか訳がわからない。ユリさんのこともそうだけど、九条さんは朱音さんと一緒にいたんじゃなかったの? それなのにどうしてお店に来てこんな真似?

頭の中で色んな疑問がぐるぐる駆け巡る中、解放された手をキュッと握りしめ俯く。

「言い寄られすぎだろ、お前」

そんな私にどこか棘のある言い方をする九条さんに、ムッとして視線だけを上げた。

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