溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


「そうなんだ。ちょっとビックリ。青葉ちゃんてそういうの無頓着そうだったから」
「そう、ですね。少し前までは」
「京吾はそれ知ってるの?」
「えっ!?」

どうして九条さんの名前が?もしかして上司に報告しているかって言いたい?

「ま、まさか。いちいち報告なんてしません」

ましてや当の本人。わざわざ失恋するような真似できるわけない。朱音さんてちょっと天然だよな。

「ふ~ん、そっか。で、どんな人?」

興味津々とばかりに前のめりになりながらニヤニヤ顔を近づけてくる。いやいや、絶対教えられるはずがない。

「あ、朱音さんの知らない人です」
「じゃあその人、優しい? かっこいい?」
「や、優しい……のかな。ちょっと分かりづらい人です。かっこいいですけど」
「えー、青葉ちゃん面食いなんだ! 意外!」
「別に顔で選んだわけでは……」

じゃあどこが好きかなんて聞かれたらよくわからないけど。

< 178 / 291 >

この作品をシェア

pagetop