溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
嵐の夜に!?

「本格的に降ってきましたね」

ゲームをする手を止め、窓に打ち付ける雨を見つめたままポツリと言うと、隣にいたユリさんが視線を上げ本当ね、と言った。

「直撃するみたいよ。とてつもなくデカイやつが」
「やだなぁ。まだ仕事全然片付いてないのに」
「でも早めに会社出ないと電車止まるわよ」

ユリさんにそう言われ、そうですよねぇ、とため息混じりに呟いた。
3日前からニュースで言っていた。大型の台風が今夜にも最接近すると。それでも前もって休めないのが社会人。それに生憎、現場は佳境に入っている。

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