溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

「だってだって、慧が結婚しようっていってくれたんだよ~もう私嬉しくて嬉しくて」
「だからっていちいち報告しに来なくていい。邪魔だ」

顔をくしゃくしゃにして喜ぶ朱音さんとは対照的にうんざりした様子の九条さんはデスクに着くと、盛大なため息を吐きながらドカッと椅子に座った。その間にも朱音さんはしつこく九条さんにつきまとう。

「京吾のお陰、ホントにありがとう」
「俺は別になにもしてねぇよ」
「でも慧と話してくれたんでしょ? 本当に感謝してる」
「わかったから、もう帰れ。だいたい店はいいのかよ」

うんざりした様子で髪を掻きむしる九条さん。そんな九条さんの前で顔が緩みっぱなしの朱音さんに恐る恐る声をかけた。
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