溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
番外編ーside by 九条ー
雲一つない真っ青な空。
うるさい蝉の声がやっと消え、風はいつのまにか秋の温度に変わった。
そんな澄んだ空の下で一組の男女が一生添い遂げる約束をした。井上慧、千葉朱音。散々俺を振り回した大学時代の友人だ。
今日この日を迎えるまでどれだけあいつらには迷惑をかけられたことか。朱音に夜中に呼び出されたり、泣きつかれたり、くどくどと愚痴を聞かされたり。思い出すのも億劫なほど。
突き放してしまえばよかったのかもしれないが、それができなかったのは今となってもわからない。