溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜



「朱音さん、綺麗ですねぇ」

隣で目をキラキラと輝かせながらそう言うのは西沢青葉。

日本から少し離れた島国に来てからずっとこの調子の彼女は、髪につけている白いハイビスカスと、淡いブルーのドレスがよく似合っていた。

今まで結婚式なんて面倒くさい、幸せアピールなら二人で勝手にしろと思っていた。

だけど照れくさそうに指輪を交換する井上と朱音を見て、無意識に口元が緩んでしまっていることを自覚したときは、自分の変化に思わず鼻で笑ってしまった。


なにが理由って……?

それは自分にも最愛の女ができたからだろう。


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