溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「先、部屋戻るわ」
「ごめんねぇ、京吾。青葉ちゃん潰しちゃって」
「いや、なんとなく予想してた」
また明日、といまだ一人で飲み続ける朱音にそう告げると、完全に脱力した西沢をつれ部屋へと向かった。
小柄な女とはいえ、眠っている人間を抱えて歩くのは思った以上に手間取った。
すれ違う客にはジロジロと不審者のような目で見られるし、部屋の鍵はなかなか開かないしで、ここに来て一番汗をかいたような気がする。
なんとか部屋に入り、放るようにベッドに寝かせると、気持ちよさそうに寝息を立てる西沢を上から眺めた。
「人の気も知らないで」