溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「何度も警告しただろ」
「す、すみません……」
シュンと肩を落とし俯く西沢。ちょっと可愛そうになって、くしゃくしゃっと頭をなで微笑んでみせると、その瞬間パァっと見違えるような明るい表情になった。
本当にどこまでも単純だ。だけどこの純粋さにいつも揺さぶられてしまうんだ。
「あの……今からプール入りませんか?」
遠慮がちに言う彼女に、あぁと頷く。
「あ、じゃあ私水着に着替えてきます!」
「いいよ、そんなの」
「え?」
駆けだして行こうとした彼女の手を掴み、わずかに口元を上げてみせる。
この開放的な気分が相まって普段では考えないことをしてみたくなる。常識やモラルなんて言葉すら、ここには存在しないかのように。