溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
しばらく立ち直れなかった。だが睡魔には勝てず、厚かましいと思いながら九条さんのベッドに潜り込んだ。
その瞬間、九条さんの匂いに包まれ、まるで抱きしめられているような、そんな感覚になった。
夜中は風と雨の音で何度か目が覚めた。そのせいか、はたまた九条さんの匂いに包まれているせいか、変な夢を見た。
九条さんがベッドにきて、キスをしてきた夢。命令口調でいつも怒ってばかりの九条さんのキスは、優しくて甘い大人のキスだった。
夢うつつの私は、明日どんな顔して会えばいいの?なんて考えていたけど、夢なのだからそんなこと考える必要ないかと、彼のキスを抵抗もせず受け入れた。夢に出てきた九条さんは優しくて、笑っていた。いつもあんな風だったらいいのに。
……なんて考えているうちに、深い眠りに落ちていた。