溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

取り出しディスプレイを見ると“実家”の文字が浮かんでいた。

「出れば?」

じっと画面を見つめる私に九条さんがそう言う。だけど私は迷わず留守電のボタンを押した。

「なんだよ、気にせず出ればいいだろ」
「いえ。いいんです」
「男か?」
「ち、違いますよ! 彼氏だったら迷わず出てます」

そう苦笑いをこぼしながら言うと、九条さんがどうでもよさそうにふ~んと呟いた。

< 50 / 291 >

この作品をシェア

pagetop