溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
取り出しディスプレイを見ると“実家”の文字が浮かんでいた。
「出れば?」
じっと画面を見つめる私に九条さんがそう言う。だけど私は迷わず留守電のボタンを押した。
「なんだよ、気にせず出ればいいだろ」
「いえ。いいんです」
「男か?」
「ち、違いますよ! 彼氏だったら迷わず出てます」
そう苦笑いをこぼしながら言うと、九条さんがどうでもよさそうにふ~んと呟いた。