溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


そんな九条さんを横目で見ながら、ユリさんがコソッと耳打ちをしてきた。

「九条さんさ、私がまさか川に流されたんじゃない? ってポロっとこぼしたら、いきなり立ち上がってここを飛び出して行ったのよ。ビックリでしょ?」
「え? そうなんですか?」

だからあんな格好してきたんだ。

「やっぱりあんたのこと可愛いのね~」

うんうん、と腕組みをして頷くユリさんだが、それは違うような気が……。
彼はここの管理者でもあり、上司としての立場があるからそういう行動に出ただけで。それ以上の感情があるようには思えない。

< 52 / 291 >

この作品をシェア

pagetop