溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

「つーわけで約束通り、今夜飯付き合ってもらいますからね。今更行かないとか無しですよ」

私のちっぽけなプライドをズタズタにしておいてなお、真壁くんが追い討ちをかけるようにニヤニヤしながら言う。

「言っておくけど、私おしゃれなお店なんて知らないからね」

こっちに上京してきて数年。いまだに小洒落たカフェや、バーなどには無縁。というより、行く友達も時間もないというのが正直なところ。

「その辺は大丈夫です。店ならもう決めてますから。それにはなから西沢さんにお店を選んでもらおうなんて期待はしてませんからご心配なく」

なんだと⁉︎相変わらずの小生意気な発言にムッとする。そんなこと言うなら女子力の低い私じゃなくて、もっと可愛いくてお洒落な女の子を誘えばいいじゃないか。きっと真壁くんなら一緒に行きたいという子はたくさんいるはず。

どうして私? もしかして何か企んでる?

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