溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「西沢さんて男慣れしてないでしょ」
「え? な、なんで?」
「手を握られただけで赤くなる人、久しぶりに見ました」
「わ、悪かったね!」
「いえ、可愛いなと思っただけです」
は?可愛い?そんなことさらりと言っちゃうんだ。いや、きっとこの男は誰にでもそう言うんだ。真に受けるな。そう自分に言い聞かせ、火照る顔を隠すようにチーズフォンデュをぐるぐるとかき混ぜる。そんな私の頭をくしゃくしゃっと撫でてきた。
……うっ、これは俗にいう頭ポンポン。なんだかくすぐったい。
でもここで動揺を見せてはいけない。ますますからかわれてしまう。