溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
豪快なチョップをおみまいし彼を追い出した後、私は一人残されたお酒と料理を前にため息をこぼした。
きっと朝から私を偽彼女にしたて、あの子と遭遇するように仕向けていたんだ。
なんて用意周到。そしてなんて最低なやつなんだ。少しでもドキッとしたあの気持ちを返してほしい。まぁ怪しいと思いつつもついてきた私も私だが。
「はぁ、なんだかなぁ」
気分はすっかりブルー。おいしい料理もお酒もこれじゃ手をつける気にもならない。でももったいないし……。
あ、そうだ。ユリさんを呼ぼう。すっかり酔っていた私は勢いにまかせユリさんに電話をかけた。