溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「その様子だと覚えてないようだな」
真っ白になる私の前で、九条さんがけだるそうに体を起こしながらそう言う。
その瞬間サーッと血の気が引くのを感じた。
男と女が一晩同じベッドで過ごし、しかも二日酔いの朝にそんな乙女ゲームのような台詞を吐かれたらもう嫌な予感しかしない。
昨夜は散々愛し合ったじゃないか、なんて追い討ちまでかけられるんじゃないかと不安にながら、頭を高速回転させ昨夜のことを必死に思い出そうとした。だけど考えても考えてもなにも思い出せない。いったい何がどうなっているの?