溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「ぼけっとすんな」
「は、はい……すみません」
……って、誰のせいだと思っているんだ。自分が原因だってわかってる?
「話は戻るが、向こうが条件を飲めばこの案件を受けることになると思う」
それなのに、当の本人はいつもと変わらずたんたんと仕事をこなす。どうしてそんなに普通でいられるの?こっちは何も手につかないし、今朝だってご飯も喉に通らなかったっていうのに。
「西沢」
「は、はい!」
「今回は受託開発になる。お前がメインでやれ。まぁまぁタイトなスケジュールになるけど、できるな?」
私を真っ直ぐ見つめ、まるで試すような物言いでそう言う。