溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「やっぱりサバの味噌煮定食! ユリさんは?」
「え? 私?」
興味津々とばかりに店内を見渡していたユリさんにそう問う。
「何にします? ユリさんもついに食べる気になってくれたんですね〜」
「あら、私食べないわよ。あんたが食べてるの見てるから気にしないで」
「えっ、食べないんですか?」
「当たり前じゃない。何年この生活してると思ってるの」
え、でもそれって……。
「あ、心配しないで。営業妨害みたいな失礼なことはしないから。おばちゃん、サバの味噌煮定食と冷やし中華お願いします」
ニコリと綺麗に笑っておばちゃんに注文を告げるユリさん。キョトンとしていると、
「あんたなら二つくらい食べられるでしょ」
当たり前のようにそう言った。