隣人はヒモである【完】
「穂波が彼女になってよー」
「やだ」
「なんでー」
不満そうに言うるいくんは、後ろから腰に置いていた自分の手をあたしのお腹まで回して、ぐったりともたれかかってきた。
重いな、と思いつつも、払うのは面倒でされるがままで抱かれておく。
るいくんとは高校の同級生で、大学こそ違うものの、あたしの住むアパートの近所の、あたしの住む部屋の2倍の広さで、3倍の家賃がかかるマンションに住んでいる。
から、こうして彼の広くてきれいな家にはたびたび遊びにきたりしてる。暇つぶしに。
るいくんはあたしの彼氏じゃないし、あたしはるいくんの彼女じゃない。
けど、あたしに彼氏はいないし、るいくんにも彼女はいない。
「……じゃ、……するのは?」
「……」
「いい? 穂波」
お互いフリー。
——だから、たまにエッチしたりは、する。るいくんとはそんな感じの関係。誰にも言ってないし、言うべきことじゃないってのはお互いちゃんとわかってるから、多分誰も知らない。
甘えたような声で囁いたるいくんは、もうその気満々にあたしの首筋に唇を這わせた。