隣人はヒモである【完】
ぐ、ぐ、ぐ、と徐々に押し倒されて、固いフローリングの上で髪の毛が広がった。
いつのまにかるいくんの方が上にいる。
じっと見上げてたら、るいくんは困ったように軽く笑って、あたしの瞼を閉じさせるように目元を手で覆った。
こういう関係になったのはいつからだっけ。どうしてこうなったのかも、よく思い出せない。
「穂波って、ちょっとだけ変だよね」
ずきんと胸が痛い。
やっぱり耳元で囁いたるいくんの唇はすぐにあたしの頬を移動し唇をふさいだ。
視界は真っ暗で、ふにゃふにゃとした感覚が唇にあって、ちゅ、ちゅ、なんていやらしい音が聴覚を刺激する
ちょっとだけ変だよね。というるいくんの声は何度か頭の中で反芻されたけれど、すぐに消えていった。
いつの間にか目元を覆っていたるいくんの手はぎこちなくあたしの服をまくりあげていて、するのは久しぶりだな、と思う。
レオ、と叫ぶ隣の女の顔が嫌でも浮かんできて何とも言えない変な気分だった。
「穂波」
「……うん?」
「……今度作ってね、餃子」
今言うことじゃないだろう、と思いつつ、返事をする前にるいくんがまたキスしてきたから、何も言えない代わりに睨みつけてやった。