隣人はヒモである【完】
帰り道は雨だった。
るいくんはあたしを家まで送ると言ったけど、なんとなく、家がばれるのが嫌だから今までと同様適当に断って、傘だけを借りて部屋を出た。
エレベーターを使って一階まで降りて、傘をさす。
そんなに強くない。けど、雨って好きじゃない。
止むまでるいくんの家にいさせてもらえばよかったかな、と一瞬後悔するけど、これ以上強くなった方が帰るのが大変になるだろうし、あたしは自分の家の枕でしか寝られないたちだから、泊まるという選択肢はないため、今さっさと帰ってしまった方が賢かろう。
無意識に早歩きになりながら、水たまりを避けて歩いた。
るいくんとあたしのアパートはそんなに離れてないけど、雨の日の移動って晴れた日の何倍も時間がかかってる気がする。
もちろん気のせいだってことはわかってるけど。気持ちね、気持ち。
10分とちょっとで住み慣れたあたしの家が見えてくる。
湿気で朝巻いた前髪はすっかりぺたんこだ。最悪。