Madder sky
そういってその鏡をゆっくりと彼は手に取ると、立ち上がった。
つられるように立ち上がった私の手の平に、そっと鏡を上に向けておくと、
「すこし空が近くなったね」

私も同じこと思った!

あまりにも同じことを考えるその人を初めて、ゆっくりと見上げた。

奇麗な瞳が印象的なその人は、ニコリと笑顔を向けた。

「私も茜色の空を見ていたんです」
「うん、俺も」
その言葉に、私もそっと微笑んだ。
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